心臓に関する臨床研修にNVIDIA Quadroが活躍

 
 
UCLH Heart Hospitalチームと Glassworks社が HeartWorksを開発

2006年、University College London Hospitals (UCLH) Heart HospitalのSue Wright氏、Andrew Smith氏およびBruce Martin氏の三名の臨床医が集い、心臓解剖の教育に使用できる本物に近い人間の心臓モデルが不足していることに関する不満を述べあいました。彼らは、仮想の心臓を作るアイデアを思いつき、解剖学的3Dデータセットに基づく心臓モデルを作成すれば、模擬の超音波画像の生成に使用できることにすぐに気がつきました。このアイデアは、患者の心臓画像を得るためにプローブの挿入に依存する経食道心エコー検査(TOEまたはTEE)等の練習が困難な検査のシミュレーションに使用できる可能性があるため、医療教育に対する重要な意味を持っていました。

この3名の臨床医は、イギリスを拠点とするGlassworks社のクリエイティブなアーティストチームと、このアイデアを共有し、アイデアの実現化を進めました。Glassworks 社は、視覚効果技術を有する、受賞歴を持つ企業です。彼らの目標は、リアルタイムで心周期における心臓の形の変化を示すように鼓動を動画化した本格的な超音波画像を迅速に提供できる、解剖学的に正確なコンピューター処理の心臓モデルを作り出し、医師が診断に有益な考察を得るために断面図を見ることを可能にすることでした。

 

Glassworks社、仮想心臓モデルを開発

臨床医らとGlassworks社は、このプロジェクトをHeartWorksと名付けました。この世界初の臨床研修ツールの開発と使用には、NVIDIA Quadroプロフェッショナル・グラフィックス・ソリューション の高性能のコンピューター処理と視覚化能力が用いられています。

開発ではまず、Glassworks社のアーティストおよび開発者チームが、人間の心臓の実際の動きを確認するために開心術にまで立ち会い、膨大な量の心臓のデジタル画像を照合しました。また、Wright氏、Smith氏およびMartin氏は、心臓外科医、心臓形態学者、超音波検査専門家およびその他の専門家と協力し、Glassworks 社と話し合いを重ね、システムを発展させていきました。

複雑かつ本物に近い心臓モデルを作成し、リアルタイムで動画化するために、Glassworks 社のアーティストとアニメーターは、NVIDIA Quadroグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を搭載したワークステーションで、Autodesk Softimage 3Dアニメーションソフトウェアを使用しました。これらのプロフェッショナル・グラフィックス・ソリューションは、高品質の画像を1秒間に30フレームレンダリングするために必要な処理能力を提供し、動画を現実感と滑らかさを維持しました。

「これまで、ユーザーがスクリーン上で3D画像を操作できる没入型技術は、グラフィック技術的にも金銭的にも限界がありました。しかし、NVIDIAの画期的な超並列GPU技術がこの歴史を変えました。」と、Glassworksの創設者であるHector McLeod氏は語っています。
HeartWorksにおいてNVIDIA GPUは、非常に複雑なモデルを読み込んで表示し、1秒間に30フレームの割合でそれらをレンダリングします。モデルを検査、段層化し、画像にアノテーションをつけ、1/30秒以内にモデルと調音波の二つの画像として表示するために、すべてのフレームにおいてこのGPUを利用しています。

「NVIDIA Quadroは、膨大な量のデータを簡単に処理できる最高のプロフェッショナル・グラフィックス・ソリューション です。このモデルは、25万個という高いポリゴン数を有します。我々は現在、二つのシミュレーションを生成しています。また、解剖学的ラベルの完全なシステムを有しています。また、モデルをよりきれいに見せるために、詳細度の高いテクスチャを用いています。大部分にOpenGL を用いて、GLシェーダ言語で作動させています。HeartWorksがリアルタイムの体験を提供できるようにするには、これらすべての処理能力が一度に必要です。」と、Glassworks社のソフトウェアエンジニアであるDavid Llewellen氏は語っています。

Glassworks社とUCLH Heart Hospitalの臨床医は、医療機関、研究所および大学のためにシステムを統合、設置、サポートしているロンドンのInventive Medical 社を介して、HeartWorks を商用化しました。HeartWorks ソフトウェアを包含するHeartWorks製品は、クライアントにとってややこしい初期設定が不要なシステムです。HeartWorksソフトウェアには、インタラクティブな仮想心臓モデルおよび超音波シミュレーションプログラム、NVIDIA Quadroプロフェッショナル・グラフィックスカード搭載の高性能ワークステーション、モニター/キーボード/マウス、TOE/TEE手順を実際に仮想体験できるプローブおよび胴体のマネキンが含まれています。

 

HeartWorks、デューク大学で活躍中

デューク大学の麻酔科、心臓麻酔科およびは、救命医療科は、HeartWorksを早期に採用しました。麻酔科では、2009年の初めにシミュレーターを購入し、経食道心エコー検査の上級プログラムにおいて、これを使ってレジテントおよび研究員を教育しています。レジデント達は、1年目、2年目および3年目に、主に心エコーの基礎および分析を学ぶためにHeartWorks を使用しています。研究員は、上級プログラムにおいて、より微細な特徴を検査するために使用しています。

「このシミュレーション技術により、格段に教育方法が改善されました。このシステムは、脈打つ心臓を明白かつ正確にシミュレートするのです。超音波画像がどのように形成され、解剖学的特徴とどのように相関するのかを説明するのは、非常に困難です。プローブで像面を変更する場合、心臓は立体的ですので、スクリーン上で心臓のどの部分を見ているのか把握するのは困難です。ですが、これを使えば、3Dで180度の像面を確認できます。このシミュレーターは、超音波画像がどのように生成されるかを確認できるようにするだけでなく、すべての側面から心臓を見ることを可能にします。ですが、このシミュレーターの最大の利点は、落ち着いてリラックスした環境で、患者の臨床ケアや時間を気にせずに、教えることができることです。」と、デューク大学医学部心臓麻酔科のMadhav Swaminathan氏(MD、FASE、FAHA)は語っています。

Swaminathan氏はさらに、このシミュレーション技術の重要な利点は、レジデントおよび研究員が、リアルタイムで心臓と相互作用できることであると言っています。「鼓動している心臓を見ながら、指導者の言う通りに強制されるのではなく、自分の意志で、それに手を加え、メスを入れ、操作することは、大きな意味があります。エコー教育の画期的な躍進と言えます。」

新たなHeartWorksアプリケーション

TOE/TEEアプリケーション・シミュレーターの 成功に引き続き、UCLH Heart HospitalおよびGlassworks社のチームは、新たなHeartWorks装置であるTTEの開発に乗り出しています。これは、体外超音波検査をシミュレートするものです。オリジナルのHeartWorksアプリケーションと同じ仮想心臓モデルを用いますが、この新たな装置は、プローブを介して、肺やろっ骨を通る切断面を生成することができます。これらもまた、視覚化されます。

Glassworks 社は、新たなTTEアプリケーションの開発において、パフォーマンスをさらに高めるために、シェーダツールにNVIDIA CUDAプログラミング言語を使用することにより、 NVIDIAの Quadro GPUをさらに利用する方法を探っています。Glassworks社のLlewellyn氏は、次のように語っています。「より迅速に作業でき、よりきれいに見えるように、さらなる最適化を行いたいと考えています。NVIDIA が次にもたらしてくれる発展がどのようなものであれ、我々はそれを最大限に利用しようと思っています。」