Life Sciences
 

科学の進歩のためのマックス・プランック協会は、ドイツに本拠をおく、独立した非営利の研究機関です。世界的な科学研究グループのほとんどと同じく、ゴッティンゲン機関も、作業の結果を導出および分析する重要なツールとしてコンピューテイションに依存しています。ホルガー・スターク(Holger Stark)教授とそのグループにとって、この機関がNVIDIAのCUDAおよびTesla技術を用いるグラフィック処理装置(GPU)での並列コンピューティングを採用してから、3D電子低温顕微鏡観察での調査が飛躍的にスピードアップしてきました。

チャレンジ


スターク教授の研究は、マクロ分子と呼ばれる小さなナノ分子構造物の構造およびその3次元での動きについて、私たちの理解を深めることを目的としています。すべての生きている細胞に存在する、これらの生物学的な「マシン」は、生命の最も根本的な過程に関わっているため、それらのメカニズムについての正確な情報の取得はとても重要です。例えば、リボソームと呼ばれるバクテリア内の特定種類のマクロ分子の機能に作用することで働く抗生物質があります。そのため、これらのリボソームと機能についての詳細な理解は、医学研究者に効果的な薬の開発を可能にする非常に重要なことなのです。

マクロ分子の詳細な3D画像を作成するため、スターク教授のチームは電子顕微鏡を使用します。現代の電子顕微鏡が、個別の原子間の距離以上に高い解像度を可能にしているにも関わらず、ここで研究されている生物学的構造は、強烈な電子ビームのために破壊されてしまいます。生物学的構造を破壊しないようにするため、このチームは非常な低温にまで標本を冷却し、マクロ分子構造と3次元での動作を観察する間、比較的低い電子線量を用いるのです。しかし、低解像度により、クリーンアップ処理が必要な「ノイズの多い」画像となるため、研究者は正確性を増すために、ノイズを削減して複数の画像を迅速に配置する特別な3D画像処理ツールを開発しました。

48コアのCPUクラスタを利用し、このチームは約7日間で15,000枚の画像を配置することができました。しかしこのスピードでは、目標とする100万枚の画像を配置するには、研究対象のマクロ分子それぞれについて1.3年がかかってしまうことになります。

ソリューション


2008年2月、この機関のゴッティンゲン施設は、サーバー構成中の200個のGPUにより、世界で初めてNVIDIA® Tesla™を導入しました。Teslaサーバーソリューション上で、彼らのアルゴリズムをNVIDIA CUDA™プログラミング言語を用いて動作させることで、この施設の研究者たちは、GPUの大規模な並列コンピューティング性能を活用し、より高速に計算を行えるようになったのです。

このGPU構成により、100万枚の画像配置は、今や14時間しかかかりません。以前のCPUクラスタに可能であった程度に比べて800倍も高速です。これらの結果に基づき、この機関はTesla機能を拡張する計画であり、そうすると100万枚の画像の処理はたった9時間で終了します。ゴッティンゲンGPUクラスタの理論的性能を世界最高のスーパーコンピュータと同等になるのです。

「NVIDIAのGPU技術は、我々のチームが求めていたまさにそのものでした。」とスターク教授は語ります。「そして、この技術は非常にタイミングよく導入されました。我々の研究にこの技術がもたらした違いは根本的なものです。現在では、我々は以前のCPUベースソリューションでは不可能なほど遅かった計算をたった数時間で行うことができます。この技術によって、我々は革新と発見を加速できるのです。」

インパクト


バクテリア内の抗生物質とマクロ分子との関係についての新たな洞察が、より効果のある薬や抗生物質の開発につながるでしょう。じきに、病気や外科処置からのより早い回復に役立ち、最終的には生命を救うであろうことを期待されています。