NVIDIA、ウェタ・デジタルと協力して『アバター』における特殊効果の制作をスピードアップ

 
 

高い前評判で封切りが待ち望まれていた3D映画、『アバター』がついに公開されました。ジェームス・キャメロン監督と20世紀フォックス映画が提供するこの映画は、すでに全世界興行収入が10億ドルを突破する大ヒットとなりました。キャメロン監督が「人生最大の作品」と呼ぶこの映画の完成に向けてポスト・プロダクションが大詰めを迎えていたころ、制作現場で「大きな」役割を果たしたのが、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を初めとするさまざまなテクノロジーでした。すでにどこかで話を聞くか、読むか、あるいは(映画館で観るという幸運に恵まれていれば)観るかもしれませんが、この映画はきめ細かく描かれたシーンが多く、また、数多くのバーチャル・キャラクターがコンピュータ・グラフィックス(CG)環境に登場します。

今回、『アバター』の特殊効果制作を担当したのは、ウェリントン(ニュージーランド)のウェタ・デジタル社です。ウェタ・デジタル社は昔からのNVIDIA®ユーザーであり、Quadro®プロフェッショナル・グラフィックス・ソリューションとTesla™ハイパフォーマンスコンピューティング・ソリューションを使って特殊効果の制作を行っています。

細部まで作り込まれたデジタル背景で800ものCGキャラクターを動かしてシーンを構成すること-それがウェタ・デジタル社の仕事でした。この作業には、かつてないほどの処理能力が必要になります。そう考えれば、GPUを発明したNVIDIAの協力をあおいだのも当然だと言えるでしょう。

2009年3月、ウェタ・デジタル社が直面する課題を解決するため、ウェタのレンダリング研究者、ルーカ・ファシオーネ(Luca Fascione)、ウェタCTO、ポール・リャン(Paul Ryan)、そして、NVIDIAリサーチのシニア・アーキテクト、ヤコポ・パンタレオーニ(Jacopo Pantaleoni)が集まって相談をしました。この会議について、パンタレオーニは次のように述べています。「CGによる特殊効果で使うポリゴンの数は今まで百万単位でしたが、今回は初めて十億単位になるとの話がポールからありました。ルーカからは、ライティングに採用したいと考えているユニークなアプローチの説明がありました。驚くほど複雑な世界を構築しようとしており、その全体について光をトレーシングするためにはスケーラブルなソリューションが必要とされていました。」

ウェタは『アバター』の複雑なビジュアル・シーケンスで使われる数十億ものポリゴンが処理できるレイトレーシング・ソリューションの開発に取り組み、その開発作業を支援するため、パンタレオーニはニュージーランドに数ヶ月も長期出張しました。

この共同研究により、NVIDIAとウェタは「プレコンピュテーション・エンジン」を開発しました。このエンジンは、ハイパフォーマンスコンピューティングのパワーをウェタの特殊効果(VFX)パイプラインに流し込むものという意味から、ギリシアの格言、「panta rhei (万物は流転する)」をもじってPantaRayと名付けました。制作プロセスにターボチャージャーを付けるというイメージで、この結果、今までよりもはるかに複雑なシーンを少ない時間で制作できるようになりました。

PantaRayの導入にどのようなメリットがあったのかは、『アバター』のトレーラーを見ればわかります。圧巻は、びっしりと木が生えた山を背景に、パープルの生き物が何百も水の上を飛んでいるところをヘリコプターで上から見たショットです。PantaRayによるこのショットのプレコンピュテーションは、わずか1日半しか要しませんでした。これはすばらしいことだとファシオーネ氏は語ります。「今までのやり方なら、1週間はかかったはずです。それがPantaRayではこれほど短時間で終わるのです。これは、さらに美しいショットに仕上げる時間が得られることを意味します。このシーンをご覧になれば、茂みや葉、一つひとつが細かく描き込まれていることがわかるはずです。距離による色の違いもはっきり、きれいに表現されています。これも、高い処理能力を持つPantaRayだから実現できたことです。」

> しかも、GPUならCPU上の25倍という高速でPantaRayによるレイトレーシング処理が行えます。ウェタ・デジタル社で研究開発を統括するセバスチャン・シルワン(Sebastian Sylwan)氏は、次のように述べています。「これほど複雑な処理を従来の方法で行った場合と比較すれば、おそらく、スピードは100倍近くまで上がっていたと思われます。」

ウェタ・デジタル社では、スティーヴン・スピルバーグとピーター・ジャクソンが監督する映画、『タンタン』の制作にもPantaRayとNVIDIA Tesla GPUを使用する予定です。また、PantaRayとGPUを活用して特殊効果パイプラインのスピードアップを実現するさまざまな方法も検討してゆくとしています。

NVIDIAとウェタ・デジタル社。両社は『アバター』で見事なチームワークを見せました。NVIDIAは今後も、ウェタ・デジタル社など、有能な特殊効果会社やアニメーション会社との協力を実現していきたいと考えています。GPU提供ですばらしい新番組が登場する日を楽しみにお待ちください。