ドイツの科学者、脳の秘密解明にNVIDIA GPUを活用|NVIDIA
 

ドイツの科学者、脳の秘密解明にNVIDIA GPUを活用

 
 

NVIDIAとユーリヒ総合研究機構、神経科学や宇宙物理学など最先端の研究を 推進するため「NVIDIAアプリケーション・ラボ」を ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターに創設

Brain Research Image
Brain Research Image

2012年6月19日 - ISC'12(ドイツ、ハンブルク) -NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO: ジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)、Nasdaq:NVDA)は本日、NVIDIAのGPUがユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターが置かれているドイツのユーリヒ総合研究機構に採用され、人間の頭脳に関する謎を解き明かす神経学の研究に役立てられることになったと発表しました。ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターは欧州最大級のパワフルなスーパーコンピューティング資源です。

NVIDIAはまた、神経科学のほか、天文学、宇宙物理学、材料科学、素粒子物理学やタンパク質の折りたたみ問題などの科学的研究をGPUで高速化してゆくため、ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターと長期的なコラボレーションを行うと発表しました。ユーリヒのスーパーコンピューティング・センター内にふたつの組織が共同で「NVIDIAアプリケーション・ラボ」を創設し、欧州全域から科学者を集めて運営を行うのです。

このラボでは、欧州の研究者がGPUで高速化したスーパーコンピューティングを活用できるように、科学計算関連で最適化したアプリケーションやテクニカル・サポートを提供します。

NVIDIAのTesla製品担当CTO(最高技術責任者)、スティーブ・スコット(Steve Scott)は、次のように述べています。「ユーリヒは欧州に大きな影響力を持つスーパーコンピューティング設備で、とても難しい科学的課題をいくつも解決してきた実績を有しています。今回、GPUが持つ画期的なメリットに焦点をあてたラボが新しく作られるわけですが、このラボが完成すれば、科学的探求の次なる波を推進する世界トップクラスの研究所というユーリヒの立場がいっそう強化されることでしょう。」

ユーリヒにおける最先端の脳研究
ユーリヒ総合研究機構では、最近、神経科学の研究に注目が集まっています。自閉症や多発性硬化症、アルツハイマー病など消耗性の神経系疾患について原因や治療方法を特定するべく、神経科学関連で新しいアプローチを採用しようとしているのです。

やはりユーリヒ総合研究機構に併設されているINM-1(ユーリヒ神経科学・医薬研究所、構造的・機能的人脳組織部門)では、人間の脳を高画質で構造的に正確かつ実際的にモデル化するにあたり、そのレンダリングに必要な脳の組織学的断面の再構成速度をNVIDIA® Tesla® GPUで50倍にも引きあげようとしています。このシステムが完成すれば、脳の構造や機能、つながり具合などをいままでは不可能だったほど詳しく、はっきりと神経科学者に示すことが可能になります。

このモデルを作成するため、INM-1の研究者らは、組織学的断面(微視的組織構造)の画像や磁気共鳴画像、磁気共鳴画像、INM-1が開発した最先端の3D偏光イメージング(3D-PLI)手法による画像など、さまざまなデータ・セットの再構築を進めています。3D-PLIでは、脳のボクセルごとに線維路の向きと傾きに関する情報が得られます。線維路については追跡にトラクトグラフィー・アルゴリズムを使いますが、この処理も高性能GPUを必要とします。

INM-1ディレクターのカトリン・アムンツ(Katrin Amunts)教授は、次のように述べています。「人間の大人の脳における神経線維について詳細な画像が得られる手法は3D-PLIしかないのですが、人間の脳について小さな地図帳を世界に先駆けて作ろうとすると、神経線維の画像をリアルタイムにレンダリングし、再構築しなければならず、計算処理が大きな問題として立ちはだかります。人間の脳には何十億もの神経細胞があり、その神経細胞同士は神経線維で結ばれています。その様子を想像すれば、人間の脳が持つネットワークについて正確なモデルを構築することがどれほど複雑で、どれほどややこしい話なのか、イメージをつかんでいただけると思います。」

ユーリヒでは、神経科学の研究で得られた知見を活用してNVIDIAアプリケーション・ラボを設計し、幅広い科学分野の研究プロジェクトをGPUで高速化したいと考えています。

欧州の研究者を支援する-NVIDIAアプリケーション・ラボの新設
今月末以降、NVIDIAアプリケーション・ラボは、最適化された科学的アプリケーションとテクニカル・サポートを提供し、ハイパフォーマンス・コンピューティングを推進するPRACEのメンバーなど欧州各地の研究者が、ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターにあるGPUで高速化したシステムを活用できるようにしたいと考えています。

ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターのディレクター、トーマス・リッペルト(Thomas Lippert)教授は、次のように述べています。「このラボが完成すれば、科学的アプリケーションを既存のものも新しいものもGPUアクセラレーションが活用できるようにセットアップし、最適化する作業をスリム化することができます。今回の合意により、今後は、条件を根本的に変えてしまうほどのGPUコンピューティングのパワーを多くの研究者が簡単に活用し、さまざまな種類の研究を推進できるようになるでしょう。」

ユーリヒには、NVIDIA Tesla GPUを搭載した206ノードのJuDGE(Julich Dedicated GPU Environment)(ピーク性能は約240テラフロップス)など、GPUで高速化したスーパーコンピューターが何台も用意され、ユーリヒ内外の研究者に供されます。

ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターについて
ユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターは、欧州でもトップクラスのパフォーマンスを誇るスーパーコンピューターを何台も運用しています。ここにはスーパーコンピューティングとグリッド・テクノロジによるコラボレーション・インフラストラクチャーがあり、そのインフラストラクチャーを活用して、科学者やエンジニアたちが科学分野や工学分野の困難で複雑な問題の解決に当たっているのです。詳しい情報はユーリヒ・スーパーコンピューティング・センターのウェブサイトをご覧ください。

NVIDIA Tesla GPUについて
NVIDIA Tesla GPUはNVIDIA CUDA®並列コンピューティング・プラットフォーム採用の超並列アクセラレーターです。Tesla GPUはハイパフォーマンスコンピューティング、計算科学、スーパーコンピューティングに対応できるように基礎から設計したプロセッサーで、科学的アプリケーションや商用アプリケーションにおいてCPUのみのアプローチよりも劇的に高いパフォーマンスを提供することができます。

NVIDIA Tesla GPUについての詳細は、Teslaウェブサイトをご覧ください。CUDAについての詳細を知りたい場合、あるいは、その最新バージョンをダウンロードしたい場合は、CUDAウェブサイトをご覧ください。そのほか、NVIDIAニュース&イベントにおいて、NVIDIA関連のニュース、会社や製品に関する情報、動画/画像など、さまざまな情報を提供しています。ツイッターでも情報を提供しています(@NVIDIATesla)。

About NVIDIA
1999年、NVIDIAによるグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の発明が、世界中の人々にコンピュータグラフィックスの可能性を認識させることとなりました。今日、NVIDIAのプロセッサはスマートフォンからスーパーコンピューターまでの幅広い製品に、またモバイル・プロセッサは携帯電話、タブレット、および車載インフォテインメント・システムに搭載されています。なかでもPCゲーム分野ではリアリティあふれる仮想空間の実現によって多くのゲーマーを魅了しています。専門的な分野では、映画製作における高度な視覚効果や3Dグラフィックスをはじめ、ジャンボジェット機からゴルフクラブにいたるまであらゆるものの開発に役立っているほか、より高性能なコンピューターを必要とする先端科学の研究者にも利用されています。NVIDIAが保有する特許は申請中のものも含めると4,500件以上に上っており、近代的なコンピューティング技術の基礎となっているものも数多く含まれています。当社の詳細についてはwww.nvidia.co.jpまたは日本語サイトwww.nvidia.co.jpをご覧ください。

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本参考情報に記載されている記述の中には、NVIDIA Tesla GPU に関する特許の影響など、これらに限らず、将来予測的なものが含まれており、予測とは大幅に異なる結果を生ずる可能性があるリスクと不確実性を伴っています。これらのリスクと不確実性に関してはこれらに限らず、世界的な経済環境、サードパー ティーに依存する製品の製造、組立、梱包、試験、技術開発および競合による影響、新しい製品やテクノロジの開発あるいは既存の製品やテクノロジの改 良、当社製品やパートナー企業の製品の市場への浸透、デザイン、製造、あるいはソフトウェアの欠陥、ユーザーの嗜好および需要の変化、業界標準やインターフェースの変更、システムを統合する際の当社製品および技術の予期せぬパフォーマンスの損失などがあり、その他のリスクの詳細に関しては、Form 10-Kの2012年1月29日を末日とする会計年度レポートなど、米証券取引委員会(SEC)に提出されているNVIDIAの報告書に適宜記載されます。 これらの将来予測的な記述は発表日時点での見解に基づくものであり、NDIVIAはこれらの記述を更新する一切の義務を負いません。

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