NVIDIA、東工大青木尊之教授を含む4名をCUDAフェローに認定|NVIDIA
 

NVIDIA、東工大青木尊之教授を含む4名をCUDAフェローに認定

 
 

NVIDIAは本日、CUDA Fellows Programにおいて、新たに学術研究のリーダー4人をCUDAフェローに認定しました。CUDA Fellows ProgramはCUDA™アーキテクチャとGPUコンピューティングの利用と普及を推進する個人を認定するプログラムです。

新しいCUDAフェローは、メニーコア・アーキテクチャ、バイオメディカル関連の画像処理、クラウド・コンピューティング、量子化学、流体力学の分野で仕事をしている以下の4人です。

  • 東京工業大学、青木尊之氏
  • ボストン大学、ラリーナ・バーバ(Lorena Barba)氏
  • マラガ大学、マニュエル・ウジャルドン(Manuel Ujaldon)氏
  • アマゾンウェブサービス、スコット・レグランド(Scott Legrand)氏

NVIDIAチーフ・サイエンティストのビル・ダリー(Bill Dally)は、次のように述べています。「この4人はいずれも、CUDAとGPUコンピューティングの能力を活用し、世界でもトップクラスに難しい計算問題に対処しようという強い意志と情熱を示している研究者です。今後も、彼らと協力し、GPUコンピューティングを利用すればデベロッパーや研究者、学者が手に入れられる、業界を一新するほどの力を世界に知らしめてゆきたいと考えています。」

CUDA Fellows Programは、それぞれの分野や地域においてCUDA™アーキテクチャを活用し、優れた実績を挙げている研究者を高く評価し、支援することを目的に創設されました。CUDAフェローとなった人々は、それぞれの研究分野においてGPUコンピューティングに大きなメリットがあることを示すとともに、GPUコンピューティングの普及に大きな役割を果たしておられます。

本日発表されたCUDAフェローの選定は、NVIDIAの研究チームが行いました。過去に認定されたCUDAフェローは、オックスフォード大学のマイク・ジャイルズ(Mike Giles)氏、 インド情報技術大学(IIIT)ハイデラバードのP.J. ナラヤナン(P.J. Narayanan)氏、ウィスコンシン大学のダン・ネグルート(Dan Negrut)氏、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジョン・ストーン(John Stone)氏、サンディエゴ・スーパーコンピュータ・センターのロス・ウォーカー(Ross Walker)氏です。

CUDAフェローに選ばれると、最新のNVIDIA® Tesla™ GPU、旅費、NVIDIAテクニカル・スタッフの協力が得られるほか、NVIDIA GPUについてハードウェアもソフトウェアも優先的にリリースを受けとることができます。GPUコンピューティングに関する最先端の研究に対するサポートも受けられますし、世界各地の大学や技術会議に招かれて話をすることもあります。

新しくCUDAフェローとなられた方々の略歴は、以下のとおりです。

東京工業大学、青木尊之氏

東京工業大学、青木尊之氏
青木尊之氏は東京工業大学・学術国際情報センター教授。2009 年より副センター長に就任。数値流体力学における高精度計算手法の開発、気液二相流シミュレーション、大規模並列計算、気象計算、計算力学が専門。日本機械学会フェローおよび計算力学部門・業績賞、応用数理学会・業績賞、多数のグラフィクス関連の賞を受賞。日本で初のCUDA の教科書「はじめてのCUDA プログラミング」を執筆。2011 年には、スパコン分野での最高栄誉と言われるゴードンベル賞・特別賞(本賞)を受賞。

//www.sim.gsic.titech.ac.jp/Japanese/Member/taoki.html 



ボストン大学、ラリーナ・バーバ(Lorena Barba)氏

ボストン大学、ラリーナ・バーバ(Lorena Barba)氏
ラリーナ・A・バーバ氏はボストン大学機械工学科の助教授です。チリのバルパライソにあるフェデリコ・サンタマリア技術大学機械工学科を卒業後(取得学位はBScとPEng)、2004年にカリフォルニア工科大学航空学科でPhDを取得しました。その後、2004年から2008年は、講師として英国ブリストル大学応用数学科で教鞭をとりました。現在は、ボストン大学コンピューティング&計算科学・工学ラフィク・ハリリ研究所のファカルティー・フェローを務めるとともに、チリのバルパライソ科学技術センター(CCTVal)の客員教授を務めています。

2007年にGPUコンピューティングと出会って以来、バーバ教授は、科学技術の発展途上国がハイパフォーマンスコンピューティングを活用するにはGPUが重要だと訴えてきました。特に、大規模インフラストラクチャーの設置が遅れていた研究所ほどチャンスがあるというのも、もともと意図されたものとは異なりますが、この技術のメリットだと言えます。GPUクラスタの運用であれば、収入レベルが中程度である多くの国々にも実現可能だとして、バーバ教授は、フェデリコ・サンタマリア技術大学におけるGPUの導入を個人的に推進しました。その結果、2011年、フェデリコ・サンタマリア技術大学はチリ初のCUDA教育センターに認定されました。

PASI(Pan-American Advanced Studies Institute)の「アメリカ大陸における科学計算-超並列計算の挑戦(Scientific Computing in the Americas: the challenge of massive parallelism)」がNSFとDOEの資金援助を受け、チリで行われましたが、バーバ教授は、2011年1月にその責任者に就任しました。このプログラムには米国と中南米から大学院生とポスドクが70人近くも参加し、UIUCのウェンメイ・ヒュー(Wen-mei Hwu)教授や東京工業大学の青木尊之教授など、並列処理やGPUについて世界トップクラスの研究者から助言を受けて研究を進めました。イノベーティブ並列処理会議、InPar'12立ち上げにおいて、論文共同議長も務めています。

賞罰としては、ゾンタ基金のアメリア・イアハート・フェロー(1999年)、EPSRC(Engineering and Physical Sciences Research Council)ファースト・グラント・スキーム(英国、2007年)、NVIDIAアカデミック・パートナー賞(2011年)、アメリカ国立科学財団アーリー・キャリア賞(2012年)があります。

マラガ大学、マニュエル・ウジャルドン(Manuel  Ujaldon)氏

マラガ大学、マニュエル・ウジャルドン(Manuel Ujaldon)氏
マニュエル・ウジャルドン氏は、スペイン、マラガ大学のコンピューター・アーキテクチャ学部准教授であるとともに、オーストラリア、ニューキャッスル大学電気工学科およびコンピューター・サイエンス学科の上級講師でもあります。1990年代から並列化コンパイラの研究を行い、1996年には疎行列および不規則型応用に対応したデータ並列コンパイラの開発をテーマにPhD論文を書きあげました。その後、ポスドクとしてカレッジパークにあるメリーランド大学コンピューター・サイエンス学科で仕事をしつつ、HPFフォーラムとMPIフォーラムに参加しました。2003年にはCgを使うなどここ10年ほどはGPGPUの仕事を進めており、不規則型応用と線形代数のアルゴリズムをGPU上にマッピングする方法を解説するなど、GPUのプログラミングによる汎用コンピューティングに関するスペイン初の書籍も出版しました。CUDAはリリースされた時点で導入し、画像処理とバイオメディカルに応用してきました。過去5年間にジャーナルや国際会議で発表した論文は、両方の分野を合わせると40本を超えています。2008年から2011年にNVIDIAアカデミック・パートナーシップ、2011年から2013年にNVIDIAテクニカルセンター、2012年にはNVIDIAリサーチセンターの認定を受けたのち、今回、ついに、CUDAフェローの認定を受けたわけです。CUDAプログラミングは、欧州、北米、オーストラリアと世界各地の大学で合計30コース以上を教えてきました。

アマゾン、スコット・レグランド(Scott  Legrand)氏

アマゾン、スコット・レグランド(Scott Legrand)氏
スコット・レ・グランド氏は、現在、アマゾンウェブサービス社でプリンシパルエンジニアとして仕事をしています。1987年にはホームコンピューター用の分子モデリングシステム(Genesis)を開発し、その後、2000年には分散型コンピューティングでタンパク質の折りたたみ問題に対処するプロジェクト(Folderol)およびネットワーク対応のAtari Jaguar用3Dスペースシューター(BattleSphere)を開発しました。実は、この3つのプロジェクトはひとつのコードベースで作られています。そのFolding@Homeコードベースが最近、CUDAにポーティングされた結果、処理速度が従来の5倍に向上し、プロジェクトの計算処理能力が約2.6ペタフロップスとなりました。グランド氏の業績で最も有名なのは、AMBER分子動力学パッケージをCUDAにポーティングし、記録的なパフォーマンスを達成したことでしょう。グランド氏は、シエナカレッジで生物学の学位を取得したのち、ペンシルバニア州立大学で生化学のPhDを取得しました。現在は、アマゾンのEC2(Elastic Compute Cloud)上でライフサイエンスサービスの開発に従事しています。

「私はPhDを持った昔ながらのビデオゲーム・コンソール・ハッカーなのですが、そういう自分にぴったりの課題をようやくみつけることができました。ライフサイエンスのアルゴリズムにおいてGPUの性能を最大限に発揮させるという課題です。このたびは、分子動力学のスピードアップに対する私がしてきた貢献をNVIDIAに認めていただき、とてもうれしく思っています。今後は、我々の成功を世の中に示すとともに、最新ハードウェアからもっと高いパフォーマンスを引きだしてゆきたいと考えています。」

About NVIDIA
1999年、NVIDIAによるグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の発明が、世界中の人々にコンピュータグラフィックスの可能性を認識させることとなりました。今日、NVIDIAのプロセッサはスマートフォンからスーパーコンピューターまでの幅広い製品に、またモバイル・プロセッサは携帯電話、タブレット、および車載インフォテインメント・システムに搭載されています。なかでもPCゲーム分野ではリアリティあふれる仮想空間の実現によって多くのゲーマーを魅了しています。専門的な分野では、映画製作における高度な視覚効果をはじめ、ジャンボジェット機からゴルフクラブにいたるまであらゆるものの開発に役立っているほか、より高性能なコンピューターを必要とする先端科学の研究者にも利用されています。NVIDIAが米国内で保有する特許は2,300件以上に上っており、近代的なコンピューティング技術の基礎となっているものも数多く含まれています。当社の詳細については//www.nvidia.co.jpまたは日本語サイト//www.nvidia.co.jpをご覧ください。